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日々、つれづれなるままに
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Posted on Friday, Jun 27, 2008 22:41
※唐突にツナとG氏が敵地の真っ只中です。
「俺は大丈夫ですよ! 十代目は先行っててください。俺はちょっくらコイツら片付けてからいきますから」
いつもの通り、獄寺君がにかっと笑う。
切れた額。唇。殴られた跡は、明日には見事な青痣になっていることだろう。
二人とも、満身創痍だった。
(ねぇ知ってる? 獄寺君。俺は君が好きなんだよ。大好き、なんだ)
「……わかった。直ぐに山本たちが駆け付けるはずだから、それまであと5分」
「はい。十代目はお手数ですがこいつ頼みます」
「うん。ちゃんと、家まで届けてあげなくちゃね」
腕の中では、泣き付かれた子供が眠っている。くったりとした身体を受け取った。温かい。
泣きたくなって、一瞬目を閉じた。
俺に関わった優しい人達の子供。泣いて、けれども責める言葉なんて一度も発さなかった。
先走って走り出して、それでも獄寺君はついてきてくれて。
だから。
大丈夫だなんて君の嘘を、知らない振りをして頷く。
「「じゃあ、また後で」」
後ろ髪を引かれるような思いを振り切って、俺は前方へと走り出した。獄寺君が獄寺君の思うように、動けるよう。
心はまだ残したまま。できることなら、君の隣で戦いたかった。
子供を脇に抱えるようにし、先へ先へと急ぐ。獄寺君が開いてくれた道を、無駄になんかできない。絶対。
走って、走って、走って、走って。
漸く振り返ったその時、地が、どおんと大きな音を立てた。
俺は冷静に、その場所が崩れゆく様を、見ていた。
***
「君のことだから、無茶するなっていうほうが無茶かもしれないけどさぁ…っ」
時折発生する呻き声を無視し、俺はぎゅうぎゅうとその身体に抱き着いた。手当はもうすんでいる。致命傷こそないものの、満身創痍のその身体。爆発は、獄寺君のせいではなかったらしい。援護部隊が飛び込んだことによる焦りで、敵方が焦って先走りした結果。仲間を守るために、獄寺君はダイナマイトで衝撃を相殺し、間に入った。
肋骨、一本。
左腕、一本。
右腕はかすり傷だけ、なんていうのがいかにも君らしい。
「帰ってきてくれて、よかった…」
本当は怖かったんだ、なんて、今だから言えること。
弱音をはいた俺を諌めることなく、獄寺君の腕が俺の身体を閉じ込めた。上から降ってきた俺を呼ぶ声が湿っていて、少しだけ、笑った。
Posted on Saturday, May 03, 2008 00:09
「ツナさん! ハルは、本日ツナさんを所望します!!」
突然、朝、チャイムの音にドアを開けたらハルがいた。
(やー。流石ハル。朝からハイテンションだなー…)
麗らかな連休の初日。昼間で惰眠を貪ろうと思っていたがそれは恐怖の俺様家庭教師に阻止された。もう俺には平穏な休日など夢のまた夢なのかもしれない。
「…ってイヤイヤ、そうじゃなくて……おはよう」
これもなんか違うんじゃないか? と思いつつ挨拶をすると、ハルが満面の笑みでそれに答えた。
「おはようございます、ツナさんっ!!」
(あ、かわいい)
にっこにこといつでも笑みの絶えないハルは、正直言うととても可愛い。俺の中では京子ちゃんが不動のベストワンを獲得し続けているけど、ハルのほうが可愛いって言う人もたくさんいると思う。そもそもこれは主観的なことであって優劣を決めるようなものではないだろうし、それはとても失礼なことだ。しかし、あくまで可愛いだけであって、あまりにも近くなりすぎた存在への思いは、最早女の子、というより家族へのそれに近い。だいたいハルは、遠慮なくずかずかと近づいてくるものだから、距離がとりにくいのだ。いつのまにか懐に入ってきてしまった。そしてそれをしょうがないな、と許させてしまう天性の資質。知らない振りで他人のままいられるヤツがいたら、いっそお目にかかりたい。
しかしそれでもやっぱりハルはハルで、慣れたからといってその突飛な行動の意図をつかめるわけではなかった。全く。
「……で、どうしたの朝から」
追い返すことが無理なのは承知の上だ。特に今日は予定が入っていなかったよな、と諦めの境地でハルに聞いた。
「ふふふふふっ! だから今日一日ハルにツナさんをくださいってお願いですよっ!」
「ええと……ごめんハル。意味わかんないんだけど…」
考えることを放棄して、繰り返し聞いた俺に、ハルは満面の笑みで笑った。
「デートのお誘いです!」
うん。ホント明快な答えをありがとう。
「……って、えええーっ!? なんで俺がハルと!?」
デートというものは恋人同士の男女がするものではないだろうか。悲しいコトながら、高校に入ったばっかの俺は、未だ恋人という存在を得たことがない。なんとなく、そういう雰囲気になったことはあったけれど、まだ決定的な言葉を互いに言ったことがないのだ。彼女は俺と同じ高校で、既に校内にファンクラブもできていた。…高嶺の花ではあるけれど。
「いいじゃないですか、ハルとしましょうよ、デート!」
「えええええ……あだっっ!」
返答に窮する俺の後頭部を、衝撃が襲う。
「……り、ぼーん…」
涙目で振り返った俺に、身体年齢三歳ほどのリボーンが涼しげな顔で愛銃を撫で労わっていた。もしかしなくてもその黒光りする物体で殴られたのだろう。僅かに膨らみ始めている瘤が悲しい。
ナニをするんだ、と抗議の声をあげる前にひと睨み。
「テメェ、男なら女に誘いの言葉を言わせておいて戸惑ってんじゃねーよ」
さっさと行って存分にエスコートして来い、というリボーンの目は「断ったら殺す」と言っていて、俺は「そもそも誘いの言葉を言わせてなんかないよね? ハルの自発的行動だよね?」という切実な反論は封じられた。確かに女の子に誘わせといて断るなんて、このフェミニストの国からきた家庭教師様に教えられた俺に、できるはずもないのだけれど。
「……ハル、ちょっと…三十分ほど、お茶でもしててもらっていいかな…?」
やるからには中途半端は許されない。少なくとも、家着のだるっとしたシャツにハーフパンツ、寝癖大爆発のこの頭では…俺が嫌だ。
家の中に入ることを促した俺に、ハルは変わらず太陽のような笑みで大きく頷いた。
頑張ってこいよ、と意味不明な言葉とともに送り出された俺とハルがどこへいったかというと、取り合えず電車に乗って近隣の大きな街へと繰り出した。どこへいったらいいのか迷った俺がハルに希望を聞いたら、買い物やお茶がしたいといわれたのだ。買い物だったら京子ちゃんやビアンキのほうが適役ではないかと思ったが、あまりにハルが嬉しそうなのでいえなかった。
さり気無くエスコートを意識しつつ、ハルが見たいといった店を二人で回った。小物や生活雑貨が中心の店ばかりで、服飾品ではなかったことに安堵する。女の子しかいない店内に俺一人紛れ込むなど、想像するだけでくらくらと眩暈がした。もしかしたらハルが気を使ってくれたのかもしれない。アクセサリーや食器やぬいぐるみ。ハルが可愛い! と言うたびに零す笑顔はとても可愛らしくて、道を歩いていても時折すれ違う男の視線がハルを追うことに気付く。
(やっぱり可愛いんだよな…)
いまだに正面からアタックをかけられている身としては少々複雑だったが。
ハルがオススメのケーキがある店でお茶をして、また雑貨を見て、笑って、話して。
帰りの電車の中で眠そうなハルに肩を貸すと、ハルはまた嬉しそうに微笑みつつ忠告した。
「ツナさん。あまり優しくするとハルは勘違いしますよ! でも今日は甘えさせていただきます!!」
とん、と軽い衝撃が肩を叩き、目を閉じたハルが俺の肩に寄りかかる。
「ハルはツナさんがすきなんですからね」
「…うん」
ヒドイ人間だな俺は。
眠るハルが、どうかずっと笑っていてくれたらいいと思う。
その望みだけはかなえられないくせに。
勝手で、傲慢だった。
次々と変わる景色は、すぐに見慣れたものに変わる。
ハルを送ってく道のりで、夕日の中、ちらりと盗み見た横顔。
大人びた憂い顔にはっとする。
初めて見る表情だった。
「もうハルのうちに着いちゃいましたね…」
残念そうなハルと、見たことのある門扉。
「今日はありがとうございました!」
盗み見た憂い顔など幻だったかのごとく、華やかに咲く笑顔。
「ハル」
残酷なことをしている、と思う。
でも、笑っていて欲しいんだ。
どうか。
「…これ」
おそるおそる差し出した小さな包みを、呆然と差し出された手に落とす。
小さな小さな雑貨店で、ハルが可愛いといった指輪。
それと同じモチーフの、ネックレス。
約束はあげられないくせに、本当に勝手な男だ。
「誕生日、おめでとう」
喫茶店でお茶をしていて、ようやく気がついた。鈍いにもほどがある。
噛み締めるように、いつもよりゆっくりとケーキを食べていたハル。
「…ツナさんッ…」
一瞬泣きそうな顔をしたハルに、今度は俺が笑いかけた。
弱弱しい笑みだったと思う。
でも。
ハルは応えるように満面の笑みを浮かべて。
「ありがとうございます。ツナさん」
大切にします。
そう胸に抱きしめられた小さな袋は、ハルの手の中で夕日に赤く染まっていた。
おめでとう、愛しき君よ。
願わくば、幸多からんことを。
Posted on Tuesday, Apr 22, 2008 20:22
初代は二代目を支持した。
自分と同じ特殊な力を備えた、同じ腹から出た女を母とする男。実力も人望も十分にあり、それに見合う気概もあった。世代の交代は遅滞なく進み、実質的な権力は、血の上で甥と呼ばれる存在にわたった。予想外だったのは、自分という存在の影響力だ。
早くから隠棲を望み、漸く叶って一安心したのもつかの間。よくも悪くも、初代という名前の重さは絶大だった。
「私はジャポーネに渡ろうと思う」
「…なんだって?」
少々気の荒いところのある甥は、それでも自分を慕ってくれていたと思う。逆らうものには容赦のない彼が、私を相手としたときにのみ、三度に一度は立場を譲った。この世で唯一、同じ世界を覗くもの。私達に宿った血はその比類ない強さゆえか、子供に伝えることが困難だった。突然変異で生まれ、その血を継ぐものがいなければ、恐らくこの血は滅んでいくのだろう。それでもよいかと思う。これ以上、生まれず腹の中で死んでゆくあわれな子供を作りたくはなかった。だから唯一、彼のみが。
しかしその彼をして、私の発言はあまりにも予想外だったのだろう。
「もう私の役目は終わったよ。そうだろう?」
睨み付ける瞳の中に、葛藤が見えた。
彼もわかっているのだ。
進んでトップを退いたものの、未だ初代の影が強すぎることは。急激ともいえる改革を行うのは、彼自身が私の影を振り払おうとあがいているからに外ならない。それが意図されたものではなかろうとも。
「私は、おまえの邪魔になっている」
トップの交代はなんの軋轢もなく、穏やかなものだった。しかし、組織の創成者がそこに在ることにより、構成員の心が分散していることも事実だった。皆は、甥を二代目であると認めている。他に候補がいなかったこともあり、派閥争いが生じることもなかった。初代を持ち出すことは、例え冗談であっても許されなかった。自分自身が、許さなかった。
「わかってくれないか? ヴィー」
対峙した肩が、僅かに揺れる。
愛称で読んだ過去など、すでに遠い記憶のむこうだった。
自分よりもはるかに逞しく、完成された肉体。近寄りがたい雰囲気を醸しつつも、その造作は整っていた。
噛み合わせた歯の間から搾り出すような、低い唸り。
「……あんたは勝手だ」
「…そうだね」
のびた手が、視線の先で迷うように揺れ、そして握られた。
「二度と、戻らないつもりか」
「ああ。だからね、ジャポーネに決めたんだ。あの国の言葉で、日の昇る国、という意味らしい」
海を越えた遥かむこうに在る国は、どんな国だろうか。
船はけして安全な交通手段ではなく、疫病や遭難、沈没の可能性はぬぐえない。
それでも。
「許さねぇ、と言ったら…?」
「私を殺すかい?」
今のまま拘束もせず、私を放置するとしたら、やがてそう遠くないうちに瓦解はくる。
それならばいっそ、芽は出る前につむべきだった。私は、現体制を批判する気も、もとの位置に戻るつもりも、毛頭ない。しかし、無実であることは無害であることと同意ではなかった。
罪のないものの悲哀を、血を、この手に吸い上げ富にした。ならば己ばかりがその業から逃れられると、どうしていえる?
「それもいいかもしれないね」
くすりと笑った私に、刺すような視線が突き刺さった。
彼の神経を逆なでするようなことを言った自覚がある。彼は私のことをどう思っているのか。それを知っていた。恥知らずと、罵られても。
「それが、ボンゴレのトップとしての意見なら、私も従おう。…けれど」
離れがたいのだと、その怒気によって訴える甥を、可愛いと思う。
「私もそう簡単に殺されるわけにはいかないな」
血を糧に生きてきた。
罪深い私を、しかし支え、生かしてくれた友がいた。
この命は、そういったものを積み重ねた上にある。
射殺すように鋭くとがりきった視線の下で、彼の唇が何かいいたげに歪んで固く閉じられる。言葉に力はなく、既に決まった未来を論じることの無意味さ。
「…殺せるものなら、殺してやりてぇよ」
憎悪の中に隠れ見えたものが、私の中に燻る熾き火をちろりと刺激した。
ああ。
愛しい子よ。
わが同胞よ。
哀れな妹の命を糧に、生まれた者よ。
私はおまえがとても憎く、そして、限りなく憧憬する。
Posted on Tuesday, Aug 28, 2007 23:57
火薬の匂いが濃く遠く、過ぎ去っていく。
残映は今も瞼の裏に鮮やかに焼き付き、鼻の奥につんと余韻を残していた。
「綺麗だったねー」
「うん」
にこにこと笑う人に笑い返す幸せ。
見物客の波は桁外れの混雑を作りだし、日頃は閑散としたホームにまるで鮨詰めのごとく人が集まっている。
不意に人の波に押され、その娘がぐらりと身体を揺らした。
「大丈夫?」
咄嗟に抱き込むとふわりと柔らかな香りが鼻に届き、どぎまぎと胸が高鳴る。
「大丈夫。ありがとう、ツナ君!」
「ううん…あっ、ごめん突然!」
腕に感じる麻布の固い感触。
浴衣からのぞく見慣れない襟足に視線が吸い寄せられ、意思を総動員してそれを剥がした。
「ううん…」
慌てて離れようにもすでにその空間はなく、青くなる俺に彼女が少し赤い頬で首を振った。
「いいよ……だって、ツナ君だもん」
「京子、ちゃん…」
ざわめく音も、ごった返す駅の不快な湿度も、遠く消えていく。
俺を見上げる彼女の大きな瞳と、耳元でがなる心臓だけが、鮮明だった。
「妄想もそこまでいくとスゲーな」
「………うっさい。勝手に読むな」
「誰に向かって口きいてやがる、このダメツナが」
がきょっ。
「す、すみませんリボーン様神様仏様~ッ! つーかお願いだからこんなとこでそんなもんぶっぱなさないで! ご近所さんが何事かって集まってくるだろ! ………あ」
「落ちたな」
「あーッ! 残念ですねツナさんー」
「あと残ってんのは坊主だけかー」
「かくなる上は俺が火をおつけしますッ!」
「や、それは遠慮するよ獄寺君っ!!」
張り切るその手にはダイナマイト。ナントやらのひとつ覚えで俺を殺すつもりだろうか、この人は。
いつものメンバーで集まって花火をすることになって、各々余った花火とかを持ち寄ったら線香花火ばかりで少し笑えた。
残りものの花火大会。
妄想だけの京子ちゃんは家族でお出かけとかで今日はいない。
そしてその線香花火も、これが最後の一本だ。
残るはリボーンただ一人。
じじ、じじ、と小さな火花が収斂していく。
もうすぐ燃え尽きる、というその最期の一瞬。
リボーンの手が小さく翻り、小さく固まりかけた火がぽとりと地面に落ちた。
「あ! あーあ…」
「こーゆーのは儚いから風流なんだろが」
「……そういわれればそうかもしれないけど」
でも残念だ。
日本で生まれ育った俺より余程日本を知っている俺の教師が、「ダメツナが」と呟いた。
Posted on Saturday, Jul 21, 2007 23:41