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日々、つれづれなるままに
Posted on Tuesday, Aug 28, 2007 23:57
火薬の匂いが濃く遠く、過ぎ去っていく。
残映は今も瞼の裏に鮮やかに焼き付き、鼻の奥につんと余韻を残していた。
「綺麗だったねー」
「うん」
にこにこと笑う人に笑い返す幸せ。
見物客の波は桁外れの混雑を作りだし、日頃は閑散としたホームにまるで鮨詰めのごとく人が集まっている。
不意に人の波に押され、その娘がぐらりと身体を揺らした。
「大丈夫?」
咄嗟に抱き込むとふわりと柔らかな香りが鼻に届き、どぎまぎと胸が高鳴る。
「大丈夫。ありがとう、ツナ君!」
「ううん…あっ、ごめん突然!」
腕に感じる麻布の固い感触。
浴衣からのぞく見慣れない襟足に視線が吸い寄せられ、意思を総動員してそれを剥がした。
「ううん…」
慌てて離れようにもすでにその空間はなく、青くなる俺に彼女が少し赤い頬で首を振った。
「いいよ……だって、ツナ君だもん」
「京子、ちゃん…」
ざわめく音も、ごった返す駅の不快な湿度も、遠く消えていく。
俺を見上げる彼女の大きな瞳と、耳元でがなる心臓だけが、鮮明だった。
「妄想もそこまでいくとスゲーな」
「………うっさい。勝手に読むな」
「誰に向かって口きいてやがる、このダメツナが」
がきょっ。
「す、すみませんリボーン様神様仏様~ッ! つーかお願いだからこんなとこでそんなもんぶっぱなさないで! ご近所さんが何事かって集まってくるだろ! ………あ」
「落ちたな」
「あーッ! 残念ですねツナさんー」
「あと残ってんのは坊主だけかー」
「かくなる上は俺が火をおつけしますッ!」
「や、それは遠慮するよ獄寺君っ!!」
張り切るその手にはダイナマイト。ナントやらのひとつ覚えで俺を殺すつもりだろうか、この人は。
いつものメンバーで集まって花火をすることになって、各々余った花火とかを持ち寄ったら線香花火ばかりで少し笑えた。
残りものの花火大会。
妄想だけの京子ちゃんは家族でお出かけとかで今日はいない。
そしてその線香花火も、これが最後の一本だ。
残るはリボーンただ一人。
じじ、じじ、と小さな火花が収斂していく。
もうすぐ燃え尽きる、というその最期の一瞬。
リボーンの手が小さく翻り、小さく固まりかけた火がぽとりと地面に落ちた。
「あ! あーあ…」
「こーゆーのは儚いから風流なんだろが」
「……そういわれればそうかもしれないけど」
でも残念だ。
日本で生まれ育った俺より余程日本を知っている俺の教師が、「ダメツナが」と呟いた。
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うちだと、大人バージョンじゃないとなかなかこんな台詞出てこないな。
ちょいとしびれちゃいました…!(ぶるり)
そして獄寺君にラブ。