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別れと現実<6127>

「あーあ、つっかれたーぁ!」
『今頃帰宅か。寄り道してんじゃねーぞダメツナ』
「してないよ寄り道なんて!! 英語の補習で呼び出されたの!」
『補習だぁ? 俺様に教わっといて補習を受けるたぁいい根性してんじゃねーか』
「な、なんだよ……しょうがないだろ! だって難しかったんだよ、小テスト……」
『は。ダメツナが』
「だから何度言えば分かるって……!! 俺はダメツナじゃなくて綱吉だっていってんだろ!」
『オメーなんかダメツナで十分だ』
「…なっ」
『は。不細工が余計不細工になってっぞ』
「リボーン、オマエなぁ…っ!」
 振り返る。
 風に揺れる、カーテン。
 空に、雲が浮かぶ。
「リボーン……?」
 ぽっかりと空いた空間が、ただそこにあった。
「リボーン……」
 ああ、そうか。
 すとん、と心に落ちる。
「もう、いないんだっけ」

『最後だ。イタリアにくるか』

 そう聞いたリボーンに、俺は「行かない」と答えた。
 それはたった、昨日のこと。
「こんなに……あっさりいなくなるなんて」
 仮にも6年近く、一緒に暮らしてきた。なのに。
 じわじわと湧いていく実感と寂しさ。
 でも、決めたから。
「ホント……オマエらしいよ」
 笑った頬が、少しだけ痛かった。


ツナがイタリアへ渡らないと決めた6年後。

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猟奇的な彼氏<1827>

「ちょっとリボーン。何やってるんだよ…?」
「はん。見てわかんねーか」
「見てわかんないっていうか、わかりたくないからきいてるんだけどね?」
「ダメツナが。包装してリボンかけてんだからプレゼントに決まってんだろーが」
「決まってるって……ちなみに聞いていいか?」
「なんだ」
「オマエホントになんでそんなにえらそうなの。っていうか誰へのプレゼントなのさ!!」
「偉いからに決まってんだろ」
「……ちょ、ちょっと待ってよ。質問にひとつしか答えてないよね!?」
「いつでも答えがもらえると思ったら大きな間違いだぞ」
 世の中厳しいってことを少しは学ぶんだな、と笑うリボーンに。
「十分学ばせてもらってますっつうかもうホントいっぱいいっぱいだから!!」
 寝てる間に柔らかで色鮮やかな不織布でぐるぐるに巻かれ、今まさに金色のリボンで結わえられようとしている俺は必死で声を張り上げた。
 ホントありえない。
 なんで起きてイキナリこんな目にあってなきゃなんないのさ!?
「そりゃオマエがそーゆー星の元に生まれてんだ。あきらめろ」
「諦められるかっ!!」
「まぁもう遅いと思うがな」
「………は?」
 ひゅう、と背中に触れた風に嫌な予感がひしひしと押し寄せる。
「赤ん坊。僕に用事って聞いたけど?」
 聞き覚えのある、その声。
 涼しげな、そしてどこか剣呑さを含んだ声。
「ちゃおっすヒバリ。オマエ、今日誕生日だってな」
「そうだっけ?」
「ああ。ハルから聞いたぞ」
「そう。別にどうでもいいけど」
 どうかこのまま俺の存在には気づかないでください…! と気配を殺して必死で願う。
 どう考えても部屋のど真ん中でカラフルな布に包まれ芋虫のように転がっている奇妙な物体に気づかないわけがないのだけれど。
「そういうな。オマエにプレゼント用意しておいたぞ」
「…ふぅん。もしかしてそこに転がってるの?」
「ああ。煮るなり焼くなり好きにするといい」
 ちょ、リボーン!! 何言って…!!!
 衝撃に思考も止まる。
「ワオ。気前がいいね」
「まぁな。ボスたるもの、部下の誕生日くらい身体張ってでも日頃の忠誠に報いてもらわねーとな」
 しかしリボーンの心外な言葉に目が覚めた。
 まてまてまてまてっ!
 部下とかいらないし! 俺別に認めてないし!! っていうか雲雀さんが部下ってなんの冗談!? それって怖すぎるから!! 雲雀さんもなんでそんなに機嫌よさそうなのー!?
 パニックになる俺をよそに、リボーンと雲雀さんはなにやら取引を終えたようで。
「じゃ、コレはもらってくよ」
 動けない身体のまま荷物のように肩に背負われ、さーっと頭から血が引いた。
「ひ、雲雀さん……?」
「なに、綱吉」
 ものすっごい機嫌がいい。
 機嫌はいいのにどうしてこの人はこんな物騒な笑顔しか浮かべられないのだろう…。
 物騒なことを考えているから、に他ならないのかもしれないけど。
「俺、どうするつもりで…」
 煮ても焼いても雲雀さんの口には合わないと思いますけども。
「それはお楽しみ、だよ」
 誕生日なんて忘れてたけど、折角のプレゼントだからね。
 そう、かつてないほどいい笑顔でいう彼は。
「ははははは……」
 怖い。
 ものすっごく怖い。
 けど。
 恋人が嬉しいなら俺も嬉しいので。とりあえず明日のことは忘れることにした。
「……誕生日、おめでとうございます」
「うん。悪くないね」

 雲雀さんの手加減を祈って!
 俺はまだ、死にたくない。

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