エリア27のペーパーにのせた小話です。
エロスはなにもありませんが、性表現あり(?)
情けない骸を許容できますか?
出来る方は下へ。
※この下から始まり。
「なんですって!?」
「ん? なにー?」
眠そうなとろりとした眼の綱吉君は可愛いが、今はそれどころではない。
もぞりと横で動いた拍子に触れ合ったのは、紛れもなく素肌だ。ぼんやりした彼を誰かに掠われないかと恐怖して、押して押して時にはちょっとだまくらかして漸く手に入れた最愛の人。
鈍感で奥手な彼を落とすには骨がいったが、付き合うのもキスもするのも初めてという処女雪のような彼を手に入れた喜びは果てしなく、その身に触れる甘美は僕の心を搦め捕る。
ただし、言ってもわからず行動で示し漸く理解して、それでも随分長い間僕の求愛をその天然でかわしてきた彼のこと。鈍感さは並でなく、そんな彼を愛しくも思い、しかし泣かされることも多く。
半ば以上強引に進めた関係は、一緒のベッドで戯れる関係も含む。最中の綱吉君はそれはもう言葉に尽くせぬ愛らしさで、羞恥に肌を紅くそめ身をよじったかと思えば、性知識が足りないせいで思いもかけないところで大胆だったりと、僕としては大変満足な夜を送っている。もちろん綱吉君を喜ばすことが第一だけれど。
しかし。
問題はその後。
情緒が致命的に欠落しているかとしか思えないほど、情事後のピロートークは僕を落ち込ませていた。
何せ彼が専ら話題にするのは学校のこと。
今日は数学の抜き打ちテストがあって散々だっただの、帰り際にクラスの男に掃除当番を押し付けられただの(その男は精神失調を起こして次の日から一週間ほど寝込んだようですが)、そういう。
けれどもそれだけならばまだいい。更に綱吉君は日頃一緒に行動することの多い雨と嵐の守護者の話や、学校の先輩(高校も一緒とはどういうことです!?)という雲雀恭弥の話をするのだ。けだるい甘さがただの疲れに変わるのはいつものこと。
(それはまだ我慢できます。けれど!)
「いまぁ……? ん、雲雀さんの話……?」
疲れも吹き飛ぶ衝撃だった、その一言。
「……ん? 好きだってこと?」
「なんていうことを言うんですか、綱吉君!」
愛に試練はつきものというが、何が悲しくてこんな時に他の男が好きだと聞かなくてはならないのだろう。
さめざめと泣く僕に気付いたのか、眠りかけていた綱吉君がもそりと起きた。
「……ごめん骸。俺何か悪いこといった?」
ええわかってましたけどね!
でもいいんです。
僕は心の広い恋人ですからね。
「あっそうか、雲雀さんの話したから?」
「え、綱吉君…」
気付いたんですか、と聞こうとして。
「オマエと雲雀さん、仲悪いもんなー」
アハハ、と明るく笑われ、肩を落とす。
(ええ、わかってました。わかってましたよ!)
わかってましたけど、僕だって夢を見たいんです。
でも雲雀さん、俺には優しいしさぁ、と慰めるように肩を叩く綱吉君が、少し憎く感じるのは何故でしょうか。PR