Posted on Monday, Jun 09, 2025 20:34
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Posted on Thursday, Mar 18, 2010 20:57
初めて読む作者の本でした。ある本屋でオススメのカードが付けられているのを見て、手にとって、何ページかを読んで、一度は棚に戻しました。でもやっぱり気になったのでとりあえず古本屋を覗いてみて(苦笑)見つけられず、そして数日後には本屋で購入したのでした。
簡単に言ってしまうと、特攻メインの歴史小説です。もう少し詳しく言うと、フリーライターの姉と、司法試験に挑戦しては落ちている司法試験浪人生の弟が、特攻で亡くなった実祖父(この言い方は正しいのだろうか…?)の過去を辿る日々が描かれています。時間に余裕のある弟が(姉の依頼…というか命令で?)調査の中心となり戦友会を通して実祖父との思い出を持つ人々を巡っていくその記録の中には、戦争中の日本の破滅へと向かっていく様が、ありありと描かれています。理不尽で暴力的な世界が本当にあったものなのだということが、辛く、哀しく、実祖父の過去を通して語られる戦争を経験した人々の真摯で極限の思いが頁を捲るたびに重く心に沈んでいきます。娘の顔を見ることもなく、海原に広がる空に散っていった実祖父。その人は上官や同じ戦闘機乗りから臆病者と罵られるほど常に「死にたくない」「必ず生きて、妻と娘のもとへ帰る」といい続けた人でした。天才的な飛行機乗りで、下士官にまで丁寧語を話す、優しい軍人。彼との思い出を持つ人々の中で、よくも悪くも強烈な、稀有な人間でした。そんな彼を、死に追いやった戦争。徐々に明らかになっていく人物像と予想していなかった結末に、涙が零れました。私は、宮部という人間がそこにいたら、尊敬せずにはいられないと思います。もし今を生きていたら、彼は善良な、けれどそう珍しくもない人々の中の一人だったでしょう。けれどもこの状況の中で、時代にそぐわぬ思考を持ち続け、そして思うとおりに生きていたということが、すごい。数々のドラマがあって、ドラマの数だけ泣いたり苦しんだりする人たちがいて、けして楽しい本ではないと思います。けれど、文章に引き込まれます。
読む価値のある本です。
そして、きっと私には、本当に戦争で戦った人たちの話は書けないだろうと、そう思いました。
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Posted on Thursday, May 07, 2009 01:39
妖怪アパートシリーズ、全10巻、読み終わりました…!!
実は友人から薦められていた、この本。
あさのあつこさんの「NO.6」と同じ、講談社のYA!ENTERTAINMENTから出ております、児童書です。なんで昨今の児童書はこうも面白いのか!!
最近になって最終巻の10巻が出まして、文庫化も始まっておりまして、その文庫の1巻を購入したのがはじまりだったのですが、2巻の発売が待ち遠しく、そして3巻は待てず、とうとう図書館に予約を入れ(流石に文庫版買ってて更に新書版で買うのはためらいが…)、9巻まで読んだものの10巻の予約待ちが長すぎ、最終的にはジュ○ク堂で座り読みをしてきてしまいました…!! (ジ○ンク堂さんには申し訳ないですが、妖怪アパートは買わなかったものの、代わりとばかりに漫画小説あわせて7冊の本を購入してきました/笑) これは、本当、面白い! 紹介する日を心待ちにしておりましたが、漸く完読したのでお目見えです。
まず、主人公は結構不幸な身の上です。稲葉夕士、春から高校へ通う予定のピッカピカの15歳。しかし彼の両親は事故で亡くなってしまっており、その後叔父夫婦の家に世話になっておりました。叔父夫婦は悪い人たちではないのですが、年頃の娘がいることもあって夕士には居心地が悪く、高校は寮のあるところを選んだ夕士。けれどもその寮が突然の火事で焼け、ひょんなことから賄いつきアパートに入居することになったのですが…これがなんと、妖怪と人間が混在する異空間だったのだから、さあ大変。夕士は妖怪と人間の中で悩み、色々なことを学び、感じ、そして成長していきます。
彼を取り巻く人々(妖怪?)も、とても魅力的です。
超絶美味な賄いを作ってくれるるり子さん。
美貌とダイナマイトボディを誇る保母のまり子さん。
怪しげでかるーい古本屋。
ハードボイルドを地でいくような画家。
耽美エログロで熱狂的なファンを持つ詩人。
除霊もお任せなスーパー大食い女子高生秋音ちゃん。
夕士を支えてきた、頭よし顔よし金ありの企み好き親友、長谷泉貴。
その他にも沢山の魅力的なキャラが、これでもかというくらい、わんさかと登場してきます。
(2巻以降のキャラは秘密v)
そんなキャラが時に夕士を支え、新しい世界を見せ、甘え、導いていく様は…うう、青春!(?)
泣けちゃうシーンも笑えるシーンも、そして無情を知るシーンも、どれも物語を魅力的に彩っていると思います。しかも…なんだかちょっとヨコシマな妄想をかきたてられるシーンもあったりしちゃうんですよねっ。だあって、高校生の男の子がですよ? 足腰立たなくて大人の男たちにお風呂に入れられてしっかり洗われちゃったりしてるんですよ!? 親友(これも男)に愛しいなんていわれちゃったりしてるんですよっ!? ちょ、あんたら私をどうしたいの!? ってなもんで萌え萌えです。それを抜きにしても、人の弱さとか業とか、そういった深遠なものを夕士の立場から描いているこの物語は考えさせられるものも多く、ずんと胸に響きます。
是非読んで欲しい。
そんなシリーズです。
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Posted on Sunday, Apr 12, 2009 21:23
今回のご紹介は、茅田砂胡のデルフィニア戦記です。
ファンタジーものとしては有名な大作ですので知っている方も沢山いるかもしれませんが、私がデルフィニア戦記と出会ったのは大学生の頃でした。茅田砂胡の作品で一番最初に読んだのは三つ子の繰り広げる珍妙な恋愛シリーズが一番最初だったのですが、その後スカーレット・ウィザードを読み、茅田砂胡に嵌り、長編であるデルフィニア戦記に手を伸ばしたのがきっかけです。
そして昨年あたりでしょうか。中央公論新社から文庫版でデルフィニア戦記がでていると知り、全18巻、番外編2巻の計20冊を大人買いしてしまったのでした…あう。
主人公は、リィと呼ばれる、異世界へとひとり飛ばされてしまった少年らしき人物。少年らしき…というのは本人がそう主張するからであり、実際のリィは美しい少女の姿でその異世界にめぐりあいました。背を覆う金の巻き毛に双緑の瞳、整った顔かたちに白く滑らかな肌…というと異国のオヒメサマたる資格十分な条件がそろい踏みですが、リィには更に、馬より早く駆ける足と、大の男を投げ飛ばせる膂力までもを持っている、なんとも型破りの主人公でもあります。しかも綺麗な顔に似合わぬ少年のような乱雑な言葉。もうそれだけでいろんなトラブルが彼女(彼)を取り巻いていくのが目に見えていますが、そこに更に国を追われた王様が同行することになるのでもうたまりません。非常時のオンパレード。息つく暇もない展開が待ち受けています。
方や異国に一人放り出された少女(少年)、方や国を追われ、一人立ち向かおうとする青年。
それだけ聞くと物語はどうしてもシリアスに偏りがちになろうかと思われますが、実際そうでもあるのですが、それでも二人の珍道中は笑いにも溢れ、やがて関わっていく人々とのやり取りに心和み、リィが異国人として見たデルフィニアの世界がそこに広がっていくと、もう引きずりこまれずにいられません。リィは王女になったり王妃になったり、囚われた王を助けにいったり求婚されたり命を狙われたり囚われたりと忙しい日々ですが、その中で描かれる人々の姿がまた秀逸なんですよね。ドラ将軍に惚れたり、ナディル王子に眉を顰めたり、これだけ沢山の人を、その人らしく書ききるって凄い。本当に尊敬します。
恋愛色は、あまり強くないです。ところどころでカップル発生はしますが、肝心のリィはまだ「発情期前」ということで、そういった意味ではまったく周囲に興味を示しません。時折デルフィニアでの相棒である「ウォル」ことデルフィニア王との微笑ましいやり取りはありますが、腐な目で見ることはできません…。ただ純粋に、面白い。
オススメです。
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Posted on Tuesday, Jul 31, 2007 23:22
畠中恵の「しゃばけ」「ぬしさまへ」を読みました。
若旦那の一太郎が可愛いです。
仁吉と佐助とのやりとりとか、子供のように構われてむくれる姿だとか、甘やかされて育ったのに性根が優しくてまっすぐなところとか、役者のような美男子らしいところとか。イイです。ステキです。ごくり。
友人が面白いと言っていたので手を出したのですが、なるほど面白い。
内容は大雑把に言えば大江戸捕物帳、といったところですが、性格も姿も様々な妖怪たちが加わって繰り広げられる物語に、ぐいと引き込まれていきます。
続き物といえば続き物ですが、一冊の文庫に短編がいくつか入っているので少しずつ読み進めていくこともできます。読書があまり好きでない人でもイケそう。
でもアレですね。
主人公まだ色恋に興味がないみたいですし、そんななか二人の妖に箸より重いものを持たせてもらえないほどに構われる十八、男(金持ちの一人息子)。
これが萌えないでいらりょうか。
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