「ずっと家にいたのかよ」
<ちょっとだけ出ましたよ! ……一時間くらい>
「出たうちにはいんねーよ」
<うう……だって、だって。ねぇ…?>
「ねぇじゃねーだろ! いい加減動かねーと身体腐るぞ」
<うん、もう腐ってるよ、きっと……>
「アンタはもう少し気概ってもんをもて」
<……それ何処で売ってるの? おいしい?>
「使い古されたギャグを言うな。耳が汚れる」
<ひどっ! いいじゃないですか。ふとんがふっとんだ、とか。梅干がうめー!とか!!>
「…アンタ、言ってて恥ずかしくないか?」
<…ちょっと>
「……………ハァ」
<な、なんですか! 呆れたような溜息ついちゃって!!>
「ような、じゃなくて呆れてんだ」
<………>
「で、家にいて何やってたって?」
<ええと、読んだり読んだり書いたり読んだり>
「読んでるほうが多いじゃねーか」
<同人誌の整理したり溜まってた本読んだりしてましたからねー>
「自慢にナンねーよ」
<…作品はもうちょっとかかるかなぁ…?>
「ホントにもうちょっとで終わるのか、あんた」
<…………それは言わないお約束で>
「知るか」
桑原水菜著『炎の蜃気楼』より
PR