忍者ブログ

« 春コミ最終情報! | リボフォルダ。 »

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

« 春コミ最終情報! | リボフォルダ。 »

ボツ原稿:ハロワク締め文<27独白>

※これはリボーンで出した合同誌「14歳のハローワーク」締め文にしようかなーと考えていてボツったお話です。(お話というほどのものではない)






●ハロワク本を、ツナが読みました。

 ぱたん、と本を閉じる。
(教科書以外の本、久しぶりに読んだなぁ……)
 身体が固まった気がする。ふぁ~あ、と。欠伸と同時に伸びをした。そのまま、背後のベッドに寄り掛かる。
 手の中の本をもう一度開き、ぺらりぺらりページをとめくると、今読んだばかりの内容が頭の中に呼び起こされた。
「いろんな職業が、あるんだ」
 知らなかった。
 小さな頃は、巨大なロボットになりたかった。憧れのヒーローに、俺もなれると思ってた。
 それが不可能だと知ったのは、小学校も半ば頃。
 その頃になると俺は、足も速くなければ頭もよくない自分に気付きだしていて、与えられた「ダメツナ」という称号を嫌いながらもどこかでそれに安堵していた。
 だってダメツナなのだ。
 できなくて当たり前。
 それはとても、楽だった。
(…でも、リボーンがきたから)
 無理矢理に尻を叩かれて、諦めないことを覚えさせられた。
 乱暴で、どうしようもなく、理不尽で。
 俺様な家庭教師。
 世界が一変した。
(……大切なものも、たくさんできた)
 親友。
 仲間。
 守りたいもの。
 それはみんな、リボーンが来てから得たものだった。
 ぺらり、とまたページをめくる。
(今ならまだ……俺にはたくさん、選ぶことができる道があるんだ、よな?)
 手の中にあるのはただの紙の束なのに、それがものすごく重く感じた。
 その全ての可能性を、捨ててしまうことへの恐怖。
(でも、さ。リボーン)
 はちゃめちゃな扱きに逃げて、理不尽な現実に怒って、やりきれない想いに泣いて、なんでもない毎日に笑いあった。
 その全てに、リボーンがいる。
(今更…さ、考えられないよね)
 リボーンがいない日々も。
 その中にいる俺も。
 今だって怖くて、逃げ出したい気持ちで一杯だけど。大切な人達を、誰ひとりとして失いたくなかった。
 だから。
(まだ時々迷うけど。俺は、俺の意思で、きっと…)
 失わないために。
 大切な場所を守るために。
 未来はわからない。けれど。
(だってさ)
 ぱたり、と閉じた本の、なめらかな表紙に指を滑らす。
(俺はやっぱりお前の生徒、だもんな)
 閉じた本の上でぎゅ、と握った手の中に。
 未来を、俺は掴んでいた。
 

PR

リボss : Comment (0) : Trackback ()

Comment


Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Trackback

Trackback URL: